※※ネタバレ注意してください!!※※
映画『天気の子』を見てきました。
話題作ということもあり、「見てきたよ~」と言うと、大抵「どうだった?おもしろかった!?」と聞かれ、それに対し私が苦手だったーと答えると、なんの答えもなっていないし、ただの気難しいおばさんになってしまうので何が苦手か、ここにはっきりと述べたい。
正直、もう二度と見たくはないし、過去に戻れるならば映画を見る前の自分に「見る意味がない」と助言したい。
何故か。
私はもう30歳で結婚もしていて、ときめきとか、親との確執やら、若者がお金を稼ぐことの大変さ、好きな人のきらきら、自分の存在意義は?・・・みたいな人生の初めの方に起こるイベントはすべて終了した大人だからだ。
苦手に思った点をつらつら書いていきたい。
好きな人に告白して付き合うまでは楽しいけど、付き合ったら大変。
天気の子は、
あなた一人と他全人類 どちらか一つを救うとしたら どっちだろかな?
迷わずYOU‼‼
RADWIMPSの言葉を借りるなら、そんな映画だった(曲が古い)。
ご存知だと思うけど、人って、告白とかして誰かと付き合うという事象より、その付き合いを継続させる工程の方が大変。なんなら3人に1人が離婚する時代。
なんか陽菜ちゃんと帆高くん、生涯の大恋愛!みたいなかんじで最後終わっていたけど、どうせ帆高くんの浮気とかで半年後くらいには別れているのでは?帆高くんからのLINEの返信が遅くて情緒不安定になる陽菜ちゃんに嫌気がさして1年後には別れているのでは?そんなハードルがこれからたくさんある中、その前段階の事象にフォーカスをあてられても、はいはい、どうせ別れる別れる。と思ってしまう30歳のばばあがここにいるんだよ。ああ~はしゃいでるな~一時のはしゃぎで東京水没したな~!と。
どうせ陽菜ちゃんは帆高君と別れれば、その数カ月後には別の人と付き合って、帆高君との思い出なんて嫌な思い出として封印し新しい彼氏とのイベントで上書き保存するんだよ~!と思ってしまうんだ・・・
こういう考えが念頭にあるから、人と人とが付き合うまでの恋愛系の作品が苦手だ。
そういう意味では新海監督の『秒速5センチメートル』は好きだった。あれが現実のあるべき形だと思う。
田舎、そんなに嫌?
東京東京とうるさく疲弊した。
東京、そんなに良いか?住んだら大変だよ、家賃高いし、駅ちか物件だと狭いし、周辺はうるさいし。何を食べるにも高いし。そのマックもめっちゃパーソナルスペース狭くない?かと言って雰囲気の良いカフェとかに行くと混んでいて並んでるし。
車に乗れば渋滞するし、電車に乗れば満員だし。
神津島、めっちゃいいところじゃん。たしかに少し田舎で出てきたくなる気持ちはわかるけど、大学進学時でよくない?高校までは神津島で勉強して、自然に癒されていなよ!友達と海で泳いで、森を散策して…!今しかできないよ!
大学生になったら色々バイトもできるだろうから、そうしたら東京出てきてタピオカでも飲めばいいよ。
という、老害目線。
これは、完全に私情だけれども、大変鮮明に新宿や西東京の街並みが描かれており、私が営業時代担当していた地区と重なり見ているだけで仕事を思い出し疲弊した…。「ああ、ここ車で走ってあの企業行ったな~」「接待でこの辺使ったなー」私があと10歳若ければ、映画を見てこんな苦しい気持ちにならなかったのに。
▼ちなみに以前、神津島に旅行し最高だったブログはここから▼
【夏休みにおすすめ】伊豆諸島神津島が最高だったので全力で紹介する - ともとはるの「何して遊ぶ?」
三葉と瀧くん、いる?
突然登場してきてびびった。
媚びたな、と思ってしまうんだ…
客に媚びちゃったな、と。
私が10歳の子供だったら、この登場は嬉しいかもしれない、というか嬉しいと思う。三年も前に見たあの傑作の主人公だ~!なつかしー!ここで暮らしてるのね!という気持ちになったと思うが、30歳の三年なんて一瞬だ。なんだ、また出てきた。という感覚。
君の名は。から10年くらい経っていれば「なつかし~!家帰ったら君の名は。も、また見てみようか!」となったかもしれない。
新海監督、絶対周りに言われて登場させたよね…?
川村プロデューサーがそういうの好きそうだもん。
やっぱり、あんだけヒットさせた映画の次回作はプレッシャーが凄いのか…
と、余計な映画制作についてを考えてしまうー!物語に集中したいのに!!
てか、三葉と瀧くん、入れ替わってみたり彗星落ちてみたり、助かって出会えた!と思ったら東京水没して散々だな…
スポンサー企業目立ちすぎ
スポンサー企業が、天気の子に乗っかったCMを流すのは良いんだ。ヒットが約束されてる訳だし。
ただ映画のなかで商品を宣伝するのはちがくないか?逆はだめじゃない?
私はTVを見ないのでCMの方は知らなかったけど、映画を見終わったあと、やけにカップヌードルが食べたくなったわ。熱湯注いで二分で。
あと、ペプシとかプレモル飲みたくなった。サブリミナルかな?ってくらい特別協賛企業のロゴが目につくー!
私がメーカー勤務だったから?だからそう思うのかな…?
金の動きが凄い。協賛企業との商談風景が目に浮かぶ。「いくら払うのでここでこのセリフを入れてください」「ここでうちの本社ビルのロゴをうつして…」…
そんなことを映画を見ながら考えてしまう。大金が動いているのはわかるけど、作中のCMはやめてくれ。
銃、必要だった?
必要だった?あれ。キーアイテム的なかんじで登場したけど特に役にたたない。
まぁ、帆高少年の感情を揺さぶるものにはなったし、最後、こう、大人に対抗するのに銃しかない!みたいなかんじのシーンがあったからいいのか…
ただ、笑えない犯罪を周りを巻き込んでおこしすぎでは?自分だけならまだしも、夏美さんスピード違反で就活失敗するだろうし、須賀さんは公務執行妨害で絶対に娘を引き取れないでしょ。帆高くんの情緒不安定に対する、周りの大人の代償がでかすぎ。
30歳の女が満足するには
文句ばかり言って、じゃあどんなだったら満足だったのか、と聞かれると…
もっと、こう、蟲師(例えの漫画がまた古い)みたいに人が天候とか操れやしないものを操った代償の怖さ、みたいのを徐々に出して晴れ女として成功していく反面、その代償に犯されている感が色濃く出ていて、絶望が見えるなか、なんとか、なんとか陽菜ちゃんを救い出して、あのラストなら良かったのかも…
加えて東京の嫌な部分とかが色濃く出ていれば、もっとラストに感動できたのかなぁ。
と、色々書いたけど、映像はもちろん素晴らしく、RADWIMPSの曲の導入には引き込まれるものがあったと思う。君の名は。の時はRADWIMPSがくどくかんじたが(ラッドの大ファンなのに)今回グランドエスケープを三浦透子さんが歌っていて最後まで飽きずに曲の良さを体感することができた。
また、未来に試行錯誤する若い世代にはおそらく共感性も高い作品で、一筋縄ではいかないラストシーンも楽しめるものになっている。
そして私はもう、こういったトキメキイベントや地元や親との確執系イベント、試行錯誤の就活や稼げないバイト・・・すべて終わってしまったのかと思うと切なくなった。