どうもこんにちは。村上主義者(作者自身が推奨する村上春樹作品読者の呼称。ハルキストではない)のともです!
今年も村上春樹氏の”ノーベル文学賞逃す!”が話題になっていましたね。
毎年恒例行事ですので、もはや秋の風物詩と言ってもいいでしょう。
これだけ続くと、「なぜこんなに毎年逃すの??」なんて思ってしまいますよね。
村上春樹氏といえば、作品は50以上の言語に翻訳されており、世界中に熱狂的なファンがたくさんいる人気作家です。
また、ノーベル賞の登竜門といわれる「フランツ・カフカ賞」を受賞しています。
それなのに一体なんで受賞できないんだ!?
ということで、ノーベル賞選考の仕組みと村上春樹氏(以下村上さん)のノーベル賞に対する見解についてまとめておきます。
ノーベル賞の選考ってどうなってるの?
ノーベル賞とは
ご存知、ダイナマイトの発明などで大金持ちになったスウェーデンの実業家、アルフレッド・ノーベルが創設したのがノーベル賞です。
理学、生理学、化学、医学、文学、平和、経済学の6つの賞があり、それぞれの分野に大きな貢献した人物が選ばれます。
気になる選考方法
選考過程は、非公開で秘密裏に行われます。
その過程が公表されるのはなんと50年後とのこと。
そんな秘密裏な選考ですから、”候補者”も公表されません。つまり公的な”候補者”は存在しないのです。
アカデミー賞やグラミー賞のように、複数候補が挙げられ、その中で受賞者が1人選ばれて号泣…!なんてことはないわけです。
もちろん本人にも知らされません。
参考:ノーベル賞受賞の選考
なぜ候補者扱いなの?
つまり村上さんは(というよりは誰1人として)公式な「ノーベル文学賞候補」ではないということがお分かりいただけたと思います。
ではなぜあのように候補者として騒がれるのでしょうか?
それは、複数のブックメーカー(スポーツの勝敗などを予想する賭け専門の会社)がノーベル文学賞の有力候補として上位に予想しているためです。
ノーベル文学賞、村上春樹氏の受賞の現実味は?世界のブックメーカーを見てみた | ハーバービジネスオンライン
これを受けて日本のメディアも候補者として扱っているということですね。
村上さんほどになれば確かに候補になりうると思いますが、私だったら、毎年勝手に予想されては「受賞逃す!」と言われるのはちょっとうっとおしい気もします。
この騒ぎについて、村上さんはどう思っているのでしょうか?
書籍から見る村上さんの本音とは?
村上春樹と読者の交流
氏は昔から、読者の質問に答えるなんでも相談室をやっていて、その内容は書籍にまとめられています。
「そうだ、村上さんに聞いてみよう」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける282の大疑問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか? (Asahi original (66号))
この試みは2015年にもあり、期間限定の特設サイト内で質問&回答された内容が、「村上さんのところ」という形で書籍になっています。
この本、紙でも256ページとぶ厚いのに、実は紙の本には全ての質問が載っていないのです。
それぞれに収録されている質問の数は以下の通り。
紙の本:473問
kindleのコンプリート版:3716問
約8倍の違いと差は歴然で、絶対にkindleのコンプリート版がお得。
ものすごい量なので、読むのが早いと自負している私でも全然進みません。
正直村上さんの本音は?
さてこの「村上さんのところ コンプリート版」の中で、ノーベル賞に関する氏の見解があったので、一部紹介したいと思います。以下の質問と回答は全て「村上さんのところ コンプリート版」(kindle)から引用しています。
質問:ノーベル賞騒ぎについてどう思うか?
競馬じゃあるまいし
Q. 実際のところ、毎年「ノーベル賞がどうの」と騒がれることについていかがお考えなのでしょうか。(かなこ、女性、36歳)
A. 正直なところ、わりに迷惑です。だって正式な最終候補になっているわけじゃなくて、ただ民間のブックメイカーが賭け率を決めているだけですからね。競馬じゃあるまいし。村上春樹拝
「競馬じゃあるまいし。」というところが村上さんらしいです。
”迷惑”という言葉を使っていますが、書籍中には「ただの予想でこれだけ大きなメディアが動くことに”当惑”しているという表現が近い」との回答もありました。確かに不思議な現象ですよね。
最後に、賞についての考え方がよくわかる質問をご紹介したいと思います。
質問:もらって嬉しかった賞はありますか?
質問:ノーベル賞を受賞してほしい作家は?
ノーベル賞を受賞して欲しい作家は?
Q. 毎年ノーベル文学賞でお名前が挙がりますが、村上春樹さんが受賞して欲しいと思われる作家さんはいらっしゃいますか。 (ブリトーちゃん、女性、36歳)
A. 敬意をもって読んでいる作家はたくさんいます。でもその誰かに「ノーベル文学賞をとってほしい」なんて思ったことは一度もありません。ノーベル文学賞をとったからって、それによって作品がより輝きを増すというものでもありませんから。ただその人がいくぶん有名になるだけです。 村上春樹拝
大切なのは読者の心をつかむこと。受賞したとしても、作品自体の輝きは変わらない。ということですね。
また書籍中の他の箇所でも、
”僕ら小説家は本来「かたちにならないもの」を追求しています。”
という記述があるなど、賞にはやはり関心がないようです。
受賞は確かに大きな功績ですが、読者の心をつかむ作品自体の方が大切ということでしょう。
村上主義者の私が受賞に関心のない理由
かくいう私も村上さんの受賞には全然関心がありません!(ごめんなさい…)
村上さんがもう充分活躍されていることには間違いないですし、特に受賞してみんなにも作品の素晴らしさを分かってほしい!と思っているわけでもないです。
好き嫌いが分かれるのでオススメしにくいというのが一つの理由…
ですが、正直それより、「村上作品は理解できない」と言われながらもコソコソと読み続けるのが”村上主義者”の真髄という感じで好きなので…。
読者の皆さん!賞など関係なく、これからも敬意を持って 村上作品を楽しみ続けましょう!
まとめ
・村上さん自身、賞より読者の心をつかむことを重視
・読者と村上さんの質問&回答本「村上さんのところ」はkindleコンプリート版が超お得!